第45回目の学問のすすめ読書会は、平成28年7月12日(火)に阪本豊起評議員の事務所で行われました。
この日はまず、堀切先輩から「戦後経済史は嘘ばかり」(高橋洋一著 PHP出版)が紹介されました。堀切先輩が読書会でも語ってこられた戦後の経済の問題意識がよく纏められているとのことです。
続いて、六拝から三田藩と福沢先生との繋がりに関して、最近発行されたNPO法人歴史文化財ネットワークさんだ編纂の「さんだ人物史」という冊子に福沢先生が三田に及ぼした開明思想家として紹介されていること、三田市郷土文化研究会機関紙「三田史談」第34号(平成26年4月発行)に三田の郷土史家藤田裕彦氏が、「三田藩への福沢諭吉翁の影響」という記事を掲載されていること、福沢先生と三田藩藩主の九鬼隆義を繋いだ川本幸民に関しては、藤田裕彦氏の「薩摩藩主島津斉彬にスカウトされた…蘭学者川本幸民」という小冊子(三田市郷土文化研究会 平成28年5月発行 頒価500円)に詳しく紹介されていることが報告されました。
なお、藤田氏は、甲南大学のOB、アサヒビールのOBですが、三田の郷土文化史の研究者ということで、宝塚慶応倶楽部から「三田藩への福沢諭吉翁の影響」というテーマで話を聞きたいという依頼を受けたことから、研究され、同じ表題で纏められたものだそうです。このなかに『文明論之概略』が「西洋に対して文明的に遅れた日本が『自国の独立を維持するためには何が必要か』という視点から、各国の文明の由来と実態を論じた。諭吉の文章は(当時としては)平易だったので、広く読まれた。その文明思想は、覇気に欠ける感がある現代でもなお思想的な価値を失わず、輝かしい光彩を放っており、」と紹介されています。読書会のほうは、文明の概略巻の一第3章「文明の本旨を論ず」を読了しました。
次回の読書会は、平成28年9月15日(木)18:30から、阪本評議員の事務所(建隆ビルII3階)で行います。巻の二に移り、第4章「一国民の知徳を論ず」からです。前回の出席者以外の方は阪本まで事前にご連絡頂ければ幸いです。
世話役 阪本豊起
第44回目の学問のすすめ読書会は、平成28年5月18日(水)に阪本豊起評議員の事務所で行われました。参加者は、堀切、青戸、浅沼、古淵、藤井、池田、福野、六拝、清水、古武に阪本の11名でした。この日は、まず曽野洋・四天王寺大学教授(教育学部長、慶応義塾大学福沢研究センター客員研究員、明治大学客員研究員)が「範は紀州史にありーわかやま教育今昔」と題して毎日新聞に連載中の記事のなかから本年4月20日の「激しい地震相次ぐ その時、福沢諭吉は?」が紹介されました。
曽野は、若き頃神戸大学の大学院で研究生活を送っていた縁から現在も神戸慶應倶楽部に所属していますが、最近は、福沢先生の業績を教育文化史と経営史の視点から再吟味しているとのことです。現代人が福沢先生のベンチャー精神から学ぶべき事柄は大きいことから、経営史の視点が出てきたようです。
昨今、日本国中に大地震が相次いで起こっていますが、福沢先生も明治24年10月に岐阜と愛知一帯を襲った濃尾震災(全壊焼失家屋14万6000戸、死者7273名)に際しては、個人的に義捐金の拠出などの支援活動に加え、『時事新報』に義捐金を募る広告を出し、社説でも連日震災を取り上げて政府に積極的に財政支援に当たるよう求めていたことが紹介されています。
また池田からは、「芸能衣装の美―吉村ゆきそのの美意識」と題する上方舞の吉村ゆきそのさんの芸能衣装の展示展についての披露がありました。池田は大阪の文化の保存・育成の支援に尽力していますが、この展示(東大阪市民美術センターで平成28年6月12日まで)も池田の尽力によるものです。読書会のほうは、文明の概略巻の一第2章「西洋の文明を目的とする事」を読了して、飲み会に移りました。
次回の読書会は、平成28年7月12日(火)18:30より、巻の一第3章「文明の本旨を論ず」からです。ご参加の方は、阪本までにご連絡頂ければ幸いです。
世話役 阪本豊起
第42回目の学問のすすめ読書会は、平成28年1月13日(水)に阪本豊起評議員の事務所で行われました。参加者は、堀切、青戸、浅沼、古淵、得田、藤井、福野、善塔、宍戸、六拝、清水、古武に阪本の13名でした。
今回からは、文明の概略の第1章に戻って輪読を続けますが、輪読に留まらず、文脈ごとに議論をして、更にその理解を深めるとともに、そこで指摘された問題意識を現在のわれわれに置き換えて話し合うことになりました。
そして緒言に続き、巻の一第1章「議論の本位を定る事」まで読了しました。緒言の「恰も一身にして二生を経るが如く」に関して、それぞれの人生に置き換えて感想や議論がありました。戦前と戦後を分断している政治体制、産業資本主義が妥当していた高度成長時代とその後の脱産業資本主義の進展、それが大きいかさほどではないかは別にして、人間の一生には「一身にして二生を経るが如く」があるものだと実感しました。そのためにも「議論の本位を定る事」が重要なのでしょう。輪読が6:30から8:30迄の2時間、飲み会が修了したのは10:00でした。新年らしく日本酒を楽しみました。
第43回目の学問のすすめ読書会は、平成28年3月15日(火)に阪本豊起評議員の事務所で行われました。参加者は、堀切、浅沼、古淵、得田、藤井、池田、福野、善塔、宍戸、六拝、清水、古武、野田に阪本の14名でした。
この日は、まず堀切先輩の今日までの日本経済の総括についての解説から始まりました。読書会の準備を始めたのが、平成8年6月ですが、その年の9月にリーマンショックがあり、翌9年3月には日経平均株価はバブル後最安値7054円を付けました。その後民主党に政権が交代し、同11年3月には東日本大震災が発生しましたが、同12年12月からは第2次安部政権発足に伴っていわゆるアベノミクスが始動し、昨年末には株価も2万円程度まで回復していましたが、実体経済が回復したという実感は乏しく、今年に入って株価も低迷しとうとう日銀がマイナス金利を導入するという局面になっています。
この間の経済の推移を経済学や経済政策の意味とともにお話頂きました。堀切先輩は、現在の世界経済の実態は、これまで有効と理解されていた財政支出の増加を求める「景気対策」でも金融緩和は景気を回復する力を持つと確信している黒田日銀の「金融政策」でも解決することが期待できないような状況に変質してしまっていることをこの読書会でもずっと指摘されていましたが、ここにきて愈々その変質とその原因について確信に至って本日の解説をされました。
その後、8時まで文明の概略巻の一第2章「西洋の文明を目的とする事」を14名で輪読を一巡して、飲み会に移りました。飲み会では、福野君から慶応大阪シティキャンパスの「戦争の時代と大学」の特別企画展の案内、池田君から理事長・審査委員長として関わっているなんなんタウン商店街振興組合の恒例(今回は19回)の大阪弁川柳コンテストの作品集の紹介がありました。また藤沢市に転居する公認会計士の野田君から別れの挨拶があり、飲み会は同君の送別会・激励会になりました。
次回の読書会は、平成28年5月18日(水)18:30から、阪本評議員の事務所(建隆ビルⅡ3階)で行います。巻の一第2章「西洋の文明を目的とする事」の途中(岩波版では36Pの後ろから5行目から)からです。
飲み会の割り勘代は3000円です。会場は神戸慶應倶楽部のある神港ビル(旧居留地8番)の西隣(東京海上)の更に西隣(6番)の全面ガラスの建隆ビルⅡの3階です。商船三井ビルの東隣です。18:30以降は正面玄関が閉まるので地下通用口からお入りください。但し、お酒とさかなの準備がありますので、前回の出席者以外の方は阪本まで事前にご連絡頂ければ幸いです。
世話役 阪本豊起